事例集Case studies

嘉手納ブロック工業株式会社

創業当時の沖縄では、いわゆる外国人住宅の建築が中部地域を中心に進んでおり、建築材料としてのコンクリートブロックの需要が高まっていた。こうした時代背景の中で、現代表の祖父がブロック製造業として事業を開始。約30年前からは事業の軸が建築資材の販売へと移行する。現在はブロックの仕入れ販売に加え、砂や砕石、セメントなどを取り扱い、ホームセンターや金物店等に納品するほか、建設会社等への供給も行っている。

  • 嘉手納ブロック工業株式会社
    代表者名 代表取締役 新城カ
    設立年 1964年
    所在地 沖縄県中頭郡嘉手納町字屋良719-1
    TEL 098-956-2957
    FAX 098-956-2957
    WEB https://kadenablock.hp.peraichi.com/
    業種 建築土木資材製造

新たな柱の構築を目指し高付加価値商品の開発へ

沖縄近海で採取された建築用砂からさんご片や貝殻を分離し、園芸用砂利「さんご殻」として販売しているが、園芸用途だけでは成長に限界があるという課題があった。そこで、支援を受けてさんご殻を原料に化合物を製造する新たな事業に挑戦。地域資源の高付加価値化と新たな市場の開拓を目指している。

  • 建築用砂の副産物ともいえる砂利だが今後の販路拡大に課題がある

    建築用砂の副産物ともいえる砂利だが今後の販路拡大に課題がある

    さんご殻に化学処理を施して化合物を製造する技術を開発中

    さんご殻に化学処理を施して化合物を製造する技術を開発中

抱えていた課題

同社はブロックの製造販売からスタートしたが、現在は沖縄近海の海底から船で採取された砂を仕入れて、建築資材として建設会社やホームセンター、金物店等へ販売する事業が主力である。仕入れた砂にはさんご片や貝殻が混じっており、それを分離して園芸用の砂利として商品化し「さんご殻」の名称で3年ほど前から販売を開始した。しかし、園芸用砂利は一定のシェアを獲得したが、これ以上の拡大には限界があった。
そこへ県外企業からある提案が持ち込まれた。その企業はさんご由来の素材を用いた製品を製造しており、現在は原料となる化合物の製造を外部に委託している。もし嘉手納ブロック工業がさんご殻を元に化合物を生産できれば、高付加価値商品を生み出すことになり、新分野の開拓ができる。相手企業にとっては外注コストの削減につながり、双方にメリットがある。
しかし同社には開発・製造のノウハウがない。そこで、知り合いの県産業振興公社の製造業に強いサブマネージャーに相談を持ちかけたところ、幸いにも支援が決まった。そして、二人三脚で新商品の開発が始まった。

支援内容

  • さんご殻の販売開始をフェイズ1とすれば、本プロジェクトはフェイズ2と位置づけられる。サブマネージャーは、半導体材料の製造技術に携わっており、化学反応や製造プロセスに関する専門知識を有している。その知見を生かして加工条件の検討や技術情報の整理、沖縄県工業技術センターとの調整など、技術面および調査面での支援を担った。
    現在は、県工業技術センターの設備を活用しながら試作品の製造を行っている。サンプルはできており、その純度等が取引候補企業の基準に合致するかを先方に評価してもらっている段階である。
    なお、この化合物には用途に応じた複数の品質グレードがある。工業用から化粧品・食品・医薬品用まで純度基準が異なり、候補企業が要求する純度の製品を開発できれば取引が可能となる。プロセスによって品質が大きく変化するため、設備をはじめ最適な製造条件の検討を進めている。
    また、小規模で作るのと量産では品質が異なる可能性もあり、そうした面へのフォローも大切となっている。

    粒は10mm程度

    粒は10mm程度

成果

  • 現在はまだ研究開発段階にあるが、品質評価や製造条件の確立が進めば、将来的には設備投資を行い自社での量産体制を構築することも視野に入れている。
    実際、取引候補企業が求める水準の化合物を開発し、量産のめどが立てば、機械導入等に設備投資を行っても採算は十分取れると見込んでいる。
    また、販売面では特定企業への依存を避けることも重要だ。現在は有力な取引候補が存在するものの、一社への依存度が高まると事業リスクが大きくなる。そのため、建材、食品、化粧品など複数の用途分野への展開や新たな販路開拓も並行して検討中である。
    開発・製造・販売など、まだ見通せない面はあるもの、従来のさんご殻から高付加価値化合物への転換に手応えを感じている。もちろん、事業の新たな柱としての期待も高まっている。三代目社長は若い上、従業員も同世代が多いため、企業としての機動力や意思決定のスピードが高く、その点もアドバンテージとなっている。
    沖縄の海で採取されたさんご片や貝殻という地域由来の資源を活用した本取り組みは、資源循環型の事業モデルとしても意義を持つものであり、今後の展開が期待される

    できた化合物は多用途に利用可能

    できた化合物は多用途に利用可能

企業の声

最適な支援担当者との縁があってよかった

  • 私の専門分野としては建築・土木資材がメインなので、こうした化合物を作る知識という点では弱い部分がありました。
    そのため、取引候補企業から、化合物ができると付加価値が上がりますよと声がかかっても、やはり私自身で調べながらやっていくのはかなり難しい面がありました。
    それが、たまたま産業振興公社の後継者育成塾に参加した際に渡邊さんと知り合い、しかも化学分野に強いということで、力を貸していただいた次第です。そんなつながりがあったことは大変幸運でした。
    これからも目標実現に向けて支援してくれそうなので大変助かります。

    嘉手納ブロックエ菜新城 力代表取締役

    嘉手納ブロック工業
    新城 力 代表取締役

公社伴走者の声

着実で支援がスムーズだった

  • 素材製品の開発プロジェクトに携わったことが数回ありますが、難しい面もあります。最も重要なことは最初の想定通り売れるのかということ。その点でいえば今回のプロジェクトでは、ある程度買ってくれそうな顧客が見つかっているのは一つのゴールとして良かったと思います。それから決まったことを着実にやってくれたので、支援も大変やりやすかった印象があります。今回の取組を成果につなげ、新たな柱に育てていただきたいと考えます。さらに、このプロジェクトがいろいろな事業者さんに伝わり、参考にされて波及効果につながるのではないかと期待しています。

    中小企業支援センターサブマネージャー渡邊 悠輝

    中小企業支援センター
    サブマネージャー
    渡邊 悠輝