沖縄市のコザゲート通りに位置する、創業36年の地域密着型ベーカリー。もともとはフランス風パン専門店としてスタートし、現在では「フランス×アメリカ×コザ」のユニークな商品スタイルで展開している。本物志向のパンは品質への評価のみにとどまらず「Zazouのパンは単にお腹を満たすものではなく、精神を満たすもの」「地域(コザ)のアイデンティティの一部」と認識している長年のコアなファンが多数存在。アップルパイも主力商品に成長し、強い支持を得ている。
| 代表者名 | 安村正子 代表 |
|---|---|
| 設立年 | 1989年 |
| 所在地 | 沖縄県沖縄市中央2-15-1 |
| TEL | 098-934-2380 |
| FAX | 098-937-7327 |
| WEB | https://www.instagram.com/zazou_okinawa/ |
| 業種 | バン菓子製造小売 |
人気商品と顧客基盤を有していたもののコスト高騰で利益率が減少していた。そこで、価格設定や販売計画をデータに基づいて見直し、製造体制の再構築で属人化も改善。さらにマーケティング強化にも取り組んだ。主要職人の退職という危機も組織と仕組みを見直すことで対処し、持続可能な経営への転換を図った。
材料にこだわり常時30~50種類のパンを提供。ワクワク感も演出する
沖縄市産業まつり新商品アワード最高金賞のzazouコザレトロアップルパイ
近年の原材料質や人件費・水道光熱貨等の高騰により利益率が大きく減少していた。背景には、商品ごとの売上や利益貢献度をデータで分析する仕組みが整備されていなかったこともある。そのため、正確な原価計算や利益率に基づいた価格設定ができず、収益を圧迫していた。
中には売れてはいるものの利益率が低い商品も存在し、収益性の改善が求められていた。また、年間の販売計画も共有されておらず、現場スタッフは、その都度社長の指示を受けて動く体制となっていて、事前の準備不足や機会損失が発生していた。さらに、コスト上昇分の価格への反映が不十分という問題もあった。
一方、製造体制においては業務の一部が特定のスタッフに依存しており、属人化が進んでいた。実際、プロジェクト開始直後には主要職人が退職する事態が発生し、製造能力が一時約70%まで低下した。これにより需要があるにもかかわらず生産が追いつかず、商品不足が顕著となっていた。
このように同社は、長年の人気と顧客基盤を有していたものの、収益構造の改善と持続可能な製造体制の構築が急務という状況に直面していた。
本支援にあたっては①販売戦略の最適化、②製造体制の強化、③マーケティング強化を柱とした。
①では商品ごとの売上と原価率を元にしたクロスABC分析を実施。データに基づいて商品を4つのカテゴリーに分類し、それぞれに値上げ・強化・廃止等の対応を行った。また、年間の販売計画を策定し、スタッフが次の企画や商品開発を主体的に考えられる体制を整えた。
②では突然の職人退職を受けて体制の再構築を行った。フルタイム人材の確保が難しい状況を踏まえ、パート・アルバイト中心の体制への移行を支援した。また、再現性の高い製造技術を導入し、高品質なパンがこの体制でも焼ける仕組みの構築を支援。さらに助成金を活用しブラストチラー(急速冷凍機)とベーカリースキャン(Al レジシステム)を導入した。さらに、現場指導でスタッフが自主的に動く組織への進化を促した。
③についてはブランド強化のためアワードをリサーチし、さらに高速SA(サービスエリア)でのアップルパイのテスト販売も開始した。
導入したブラストチラー
販売戦略面では、商品ごとの利益構造が可視化され、データに基づく経営判断が可能になった。価格改定を実施した商品でも顧客離れは見られず、粗利率の改善に直接的に寄与した。また、主力商品のアップルパイは商品そのものの魅力とPR強化によって戦略的価値が高まっている。さらに、策定した年間販売計画は現場における「羅針盤」として共有され、戦略型店舗へと進化した。
製造面では、属人化からの脱却が進み、パート・アルバイト中心の製造が可能となった。また、作業工程の改善により、たとえばアップルパイのフィリング乗せ工程で作業時間を12秒から2.8秒へと大幅な短縮を実現。さらに、ブラストチラー導入で、焼きたて商品を急速冷凍して品質を保ったまま保存できるようになり、作り置きが可能となった。これによって早朝の作業負担が軽減され、働き方の改善にもつながった。
マーケティング面ではアップルパイについて3ヵ年アワード計画を策定。Zazouの価値やこだわりを可視化し、外部へ発信する機会としてアワードを活用する方針とした。高速SAでの販売も好調で、県内全SAでの販売も開始した。
職人退職という危機を乗り越える過程で、組織と仕組みを再構築できた一年であったと総括できる。
マスコットキャラのエマちゃん
今回の課題解決集中支援事業は、自身の事業を客観的に見つめ直す大変貴重な機会となりました。日々の業務に追われる中では気づきにくい課題や可能性を整理することができ、事業の方向性や強みを再確認することができました。また、戸塚さんをはじめとする、産業振興公社の皆さまの温かく丁寧な伴走支援のおかげで、今後の事業の道標となる指針を得ることができました。
本プログラムで得た学びと視点を活かし、地域に価値を届ける事業としてさらに発展させていきたいと考えています。“攻めの経営”に踏み出せたと感じています。
Zazou
安村 正子 代表
本支援の2年目となる今回は、1年目に策定したピジョンおよび中期経営計画を実行に移す重要な局面でした。データ活用による販売戦略の最適化や製造体制の強化を通じて、経営基盤の強化に向けた取り組みをサポートしました。安村代表およびスタッフの皆さんは、常に前向きに取り組みながら、自社の可能性や課題について深く考え、一つひとつ着実に形にしていかれたことが印象に残っています。
Zazouが持つ独自の魅力や価値は、地域にとっても大きな可能性を持っていると感じています。今後も地域に新しい価値を生み出す存在として、さらなる発展を期待します。
中小企業支援センター
サブマネージャー
戸塚 浩子